決算

三菱商事 2025年3月本決算

三菱商事、2025年3月期決算を発表:利益は堅調も収益は減少、ローソン株式の持分法適用が影響

2025年5月2日、三菱商事(証券コード:8058)は2025年3月期の連結決算を発表しました。本記事では、業績ハイライト、セグメント別動向、財務状況、キャッシュ・フローの動きなどを図表を交えてわかりやすく解説します。


1. 業績ハイライト

指標 2024年3月期 2025年3月期 前年比
収益(億円) 195,676 186,176 -4.9%
税引前利益(億円) 13,626 13,934 +2.3%
当期純利益(億円) 10,249 10,762 +5.0%
親会社帰属利益(億円) 9,640 9,507 -1.4%

📉 収益は減少傾向:ローソンの連結除外や原料炭の販売減少が影響
📈 純利益は微増:資産売却益や費用減少が貢献

2.セグメント別の当期純利益(2025年3月期)

セグメント 2024年3月期(億円) 2025年3月期(億円) 増減(億円) 主な要因
地球環境エネルギー 2,388 1,986 △402 LNG事業の一時益剥落、シェールガス事業の市況悪化
マテリアルソリューション 739 683 △56 化学品事業は回復も、北米樹脂建材・鉄鋼事業が低調
金属資源 2,955 2,278 △677 豪州原料炭の販売数量・市況下落、資産売却益は寄与
社会インフラ 509 398 △111 海外不動産は回復も、北米不動産の損失・千代田建設関連引当
モビリティ 1,414 1,124 △290 インド事業の評価益寄与も、三菱自動車やASEANで市況低迷
食品産業 △253 924 +1,177 前期の減損剥落、鮭鱒養殖・海外食品好調、KFC株売却益
S.L.C.(コンビニ等) 1,027 1,850 +823 ローソンの持分法適用化による再評価益
電力ソリューション 979 △156 △1,135 前期資産売却益の反動、国内洋上風力の減損損失

📝 分析ポイント

✅ 増益セグメント

  • 食品産業(+1,177億円)
    → 前年度の海外食品事業の減損や鮭鱒養殖の損失が剥落。加えて、KFC株やPRINCES株の売却益も貢献。

  • S.L.C.(+823億円)
    → ローソンの株式を持分法適用会社へ変更したことに伴う再評価益が発生(連結除外ではあるが評価益を一括計上)。


⚠️ 減益セグメント

  • 電力ソリューション(△1,135億円)
    → 前年度の資産売却益が一巡。さらに、国内の洋上風力発電プロジェクトでの減損損失が響く。

  • 金属資源(△677億円)
    → 豪州原料炭事業での数量減少と価格下落。売却益はあるが、市況悪化の影響が大きい

  • 地球環境エネルギー(△402億円)
    → マレーシアLNGでの事業清算益が前期あった反動や、北米シェールガスの価格下落が影響。


📌 補足:ローソンの扱いについて

2024年度に連結子会社だったローソンは、2025年度から持分法適用会社に移行しました。そのため:

  • S.L.C.セグメントの利益に再評価益が一時的に計上

  • 一方で、連結除外されたため、収益全体にはマイナス影響


このように、三菱商事の各セグメントは資源価格、事業再編、評価益の一時性など多様な要因に影響を受けています。次期(2026年3月期)は大幅減益予想となっているため、これらの一過性要因をどのように補完していくかが注目です。


3. 財務状況:資産減少、自己資本比率は改善

指標 2024年 2025年 増減
総資産(億円) 234,596 214,961 -19,635
純資産(億円) 100,948 101,543 +595
自己資本比率 38.6% 43.6% +5.0pt

ローソンの持分法適用が影響し、総資産と負債は圧縮
✅ 自己資本比率が5ポイント上昇


4. キャッシュ・フロー:営業CFは好調

項目 2024年 2025年 増減
営業CF(億円) 13,474 16,583 +3,109
投資CF(億円) △2,058 △2,739 △681
財務CF(億円) △10,862 △15,307 △4,445
現金残高(億円) 12,515 15,366 +2,850

💡 営業CFが3,000億円超の増加
⚠️ 財務CFは短期借入の返済等で悪化


5. 配当と見通し

  • 2025年3月期配当金:100円(前年70円から増配)

  • 2026年3月期予想:110円(連続増配)

  • 2026年3月期利益予想:7,000億円(前年比 △26.4%)

📉 来期は大幅減益見通しながら、累進配当方針を継続


おわりに

三菱商事は資源価格や市場変動の影響を受けながらも、事業ポートフォリオの見直しや資産入替で利益水準を維持しました。来期は減益見通しですが、財務体質やキャッシュ創出力は堅調で、配当も増配基調が続いています。

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masa
兼業の投資家です。 保有株式の決算まとめを備忘録を兼ねてブログを書いています。